• テキストサイズ

イロイロ【気象系BL】

第15章 おとぎのくにの 7



「……ごめんっ!俺なにも知らないのに無責任なこと言って…」

泣き出したカズにマサキが焦って顔色を変えた。

何も悪いことなんてしていないのに必死に謝って、本当に優しい人だと思う。

「ちがう…ちがうの…」

オロオロするマサキに、カズは首を横に振るけど涙は止まらない。

でも悲しくて泣いてるわけじゃない。

「ありがとう、マサキ…」

その証拠にカズは泣きながら笑った。

それは久しぶりに見た作り物じゃない笑顔で。

胸がいっぱいになって、私の涙も止まらなくなった。

「私からも、ありがとう…マサキ…」
「ええっ!?」

どうしても私からもお礼を伝えたくて。

声を掛けたら、振り向いたマサキが目をまん丸にして固まってしまった。

まさか私まで泣いているとは思わなかったんだろう。

「何でサトさままで泣いて……え?え?」

マサキは可哀想なくらい狼狽えてしまっていて。

確かにマサキからしたら意味が分からない状況だと思う。

困らせたいわけじゃないのに涙が止まってくれなくて、どうしようと思っていたら。

「あのっ………ふぇっくしっ」

何かを言いかけたマサキが盛大なクシャミをして。

それでハッと我に返った。

当然のことながらマサキはびしょ濡れのままで。

忘れていた訳じゃないけれど、つい意識の隅に追いやってしまっていた。

いくら天気が良いとは言え、そこまで気温が高いわけではない。

濡れたままでいたら風邪をひいてしまう。

「大変!ごめんなさい、マサキ!」
「いや、そんなことより二人の方が…」

マサキは自分のことより私たちの心配をするけれど、気づいたからにはそのままにはしておけない。

自然と涙は止まっていた。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp