第15章 おとぎのくにの 7
そうしてマサキが無事にお休みをもらえた天気の良い日、私たちは湖へ向かって出発した。
マサキの言っていた通り、湖は確かに遠かった。
でも道が特別険しいわけではなかったし、何よりマサキが絶妙なタイミングで休憩を取ってくれる。
少し足が疲れてきたな…とか、息が上がってきたかも…と思うと、口にする前にマサキから休憩を提案してくれて。
本当に私やカズの様子をよく見ていてくれてるのが分かる。
それに休憩と言っても
「少し先にこの間とは違う野いちごがなってる場所があるので、少し食べていきませんか」
とか
「この辺りは珍しい花がたくさん咲いてるのでゆっくり見ていきましょう」
とか、その場その場で楽しみを作ってくれて。
足を止めて座ったりするから体は休まるけど、楽しいからあまり休憩を取ってる感じはしなくて。
きっと休憩の回数が増えてもカズがあまり気にしないように考えてくれてるんだと思う。
マサキの優しさに胸が温かくなった。
ゆっくり楽しみながら歩き進めて、ようやくたどり着いた湖は本当に青かった。
「きれい…」
思わず感嘆のため息がこぼれる。
水面には森の木々や空の雲が映っていて、まるで絵画みたい。
私の隣でカズも言葉もなく湖を見つめている。
その目がキラキラしていて。
カズと一緒にこの景色を見ることが出来て、ちょっと遠くても頑張って来て良かったって思った。