第15章 おとぎのくにの 7
「私たちがそこへ行くのはどうしても無理?」
「うーん…」
すぐには諦められなくてマサキに尋ねてみたら、マサキは真剣に考え始めた。
「……早めに出発して、休憩を多めに取りながらなら…行けるかも?」
「本当に?」
嬉しくて自分でも声が弾んだのが分かった。
「はい。ただ、今までの倍くらい歩くことになります。絶対に無理はしないで、疲れたらすぐ言ってくださいね」
私たち二人に向けての言葉だけど、どちらかと言うとマサキはカズに言い聞かせてるんだと思う。
カズも毎日私と一緒に動いているから、森にもだいぶ慣れたし以前に比べたら体力もついた。
でもいつも一番最初に疲れてしまうのはカズで。
騎士団で鍛えられてるマサキとは比べられるわけがないし、私とは年の差がある。
だから仕方がないことなんだけど、カズは気にしてて多少辛くても我慢しちゃうんだよね。
まぁマサキがよく見てくれていて、絶対に無理はさせないようにしてくれるから安心なんだけど。
「でもマサキ、訓練は大丈夫なの?」
今まで森に出かけるのは午後だけだった。
マサキの訓練が午前中にあるから。
もちろん私たちの体力的なことも考えられてのことだとは思うけど。
早めに出発するということは、マサキは訓練を休まなきゃいけない。
騎士団の訓練ってそんな簡単に休めるものなの?
「サトさまの護衛の仕事を優先するように言われているので全然大丈夫ですよ!」
心配になって確認すると、マサキは胸を張って答えた。
マサキが怒られないのは良かったけど、私のワガママで休ませてしまうのは申し訳ない気もする。
でも、「楽しみですね!」と満面の笑みで言われて。
「せっかくなのでお弁当を持って行ってピクニックもしましょう」
マサキも楽しみにしてくれるならたまにはいいかと思うことにした。