第15章 おとぎのくにの 7
そうして迎えた当日。
「それじゃあ行きましょう!」
マサキを先頭に初めて足を踏み入れた森の中は、思っていたよりちゃんとした道があった。
さすがに舗装はされていないけど歩きやすい。
周りはどこを見ても木ばかりだけれど、木漏れ日が降り注いでいて想像していたより明るい。
なんとなく昼間でも鬱蒼としていて薄暗いイメージがあって、やっぱりちょっと緊張していたからホッとした。
でもカズはなかなか安心できないみたいでビクビクしている。
お兄さまの注意を一緒に聞いていたから、不安になっちゃったのかもしれない。
どこかから急に獣が出て来るんじゃないかと警戒してずっとキョロキョロしてる。
怖いならついてこなくてもいいよって言ったんだけど、サトさまお一人で行かせる訳にはいきませんって言って聞かなかったんだよね。
今日はマサキがいるし、マサキ以外にも護衛が何人かついてるから全然一人じゃないんだけど。
まぁ、そういうことじゃないんだろう。
ちなみにこの護衛も騎士団の人たちみたいで、出発前にマサキが緊張した顔で挨拶していた。
今は一定の距離を保ってついてきている。
気配を消してくれてるみたいで、その存在はほとんど気にならない。
「大丈夫だよ、カズ。この辺には危険な獣は出ないし、もし万が一出たとしても絶対に守るから」
私の腕にしがみつくようにしてるカズに、マサキが安心させるように声をかける。
「………はい」
カズはマサキをちらりと見たあと、後方にいる護衛たちをしっかり確認してから頷いてた。
マサキを信用してないわけじゃないんだろうけど、まぁまだ見習いだしね。
でもこれだけ護衛がついてるし、はっきり守ると言ってもらえたことでカズもちょっとは安心できたのか、全身に入っていた力が少し抜けたみたいだった。