第15章 おとぎのくにの 7
「私はサト、こちらはカズです」
既に知っているだろうとは思うけれど、改めて自己紹介をする。
名前は知っていたとしても、こうやって顔を合わせるのは初めてだから。
もちろん私の後ろに控えているカズのことも一緒に。
お兄さまは、私“たち”の護衛って言っていたから、カズもマサキの護衛対象のはずだ。
「サトさま、カズさま」
マサキは確認するように私とカズの顔を見ながら名前を呟く。
それを聞いて、あれ?と思った。
カズも首を傾げてる。
「私は侍女ですので呼び捨てで構いませんよ」
「えっ?」
カズが不思議そうな顔をしながら訂正すると、マサキは目を丸くした。
「侍女…?」
まるで疑うかのように聞き返されてカズが怪訝そうな顔になる。
「侍女です。見ればわかるでしょう?」
そう言ってカズは自分の着ている服を示した。
お母さまの指示がない今、当然カズは侍女のお仕着せを着ている。
だからどう見ても侍女にしか見えないはずだ。
「あれ?本当だ…」
でもマサキは言われて初めて気づいたみたいだった。
もしかしたら緊張しすぎてて服まで見えていなかったのかもしれない。
まぁ、今はっきりと言われて分かっただろう。
「…え?でも、えっと…?」
なのに何故かマサキは軽く混乱しているみたいで。
「どうしたの、マサキ?」
「あの……俺、お嬢さまお二人の護衛だって聞いてて…」
何だか分からないから聞いてみたら、マサキは困ったように教えてくれた。
なるほど。
マサキが混乱している理由が分かった。