第15章 おとぎのくにの 7
その後、びっくりするくらいのスピードで荷造りがされていって。
お父さまと話した2日後にはもう屋敷を出発することが出来るようになっていた。
もしかしたら他の侍女たちには先に話がされていたのかもしれない。
それくらいの早業だった。
ちなみに、私専属の侍女たちは全員領地までついてきてくれることになった。
もちろん領地の屋敷にも侍女はたくさんいるんだけど、私たちの秘密を守るためには何も知らない人をつけるわけにはいかない。
正直、私はカズさえいてくれれば大丈夫だけど…今回はカズを休ませることも目的の1つだから、カズに負担を掛けるようなことはできない。
だから、どれだけの期間向こうに居ることになるか分からないのに、みんな一緒に行くことを快諾してくれてありがたかった。
出発の時、お父さまとお兄さまたちは、わざわざ仕事や学校を抜け出して見送りに来てくれた。
一番上のお兄さまはここには居なくて、領地で私たちを受け入れる準備をしながら待っててくれてる。
「2人とも本当に、本当に気をつけて」
「護衛たちから絶対離れないようにな」
「風邪ひくなよ」
「ちゃんとご飯食べるんだぞ」
お父さまもお兄さまたちも、みんな泣きそうな顔で次々心配事を口にする。
何も変わらない過保護っぷりが今は嬉しい。
迷子になるな誘拐されるな体調に気をつけろ…などなどなどなど尽きることのない注意事項。
それでも誰も行くなと言わないのは、やっぱり今は私たちは屋敷を離れた方がいいとみんな思ってるってことなんだろうな。