第14章 おとぎのくにの 6
サトに会えば全て解決するような気がしていたけど。
実際はどうにもならなかった。
父上の話したことは、嘘でも冗談でもないんだと思い知らされただけだった。
ただただ打ちのめされて城へ戻る。
もう何もしたくなかった。
出来ることならこのまま寝てしまいたかった。
でもそれは許されなかった。
馬車を降りるなり、待ち構えていた母上の侍女たちにとっ捕まったのだ。
そのまま即、母上の待つ部屋へ連行された。
「おかえりなさい」
「…た、ただいま戻りました」
母上は笑顔で迎えてくれたけれど、何だか圧がすごい。
正直、今の俺には母上の相手が出来るほどの余力は残っていない。
でも、虚ろな目でぼんやりしてしまっているジュンはもっと無理だろう。
出来れば日を改めてほしいが、母上は逃がす気がなさそうだし。
これは諦めて年長の俺が向き合うしかないんだろうな。
「サトちゃんとカズちゃんには会えた?」
母上は余程待ちかねていたのか、前置きも何もなくど直球に問い掛けてきた。
名前を聞くだけでも胸が痛い。
2人の泣き声がまだ耳に残っている。
「………はい」
泣きそうになるのを堪えながら何とか頷くが、母上は容赦がなかった。
「ちゃんと話し合えた?婚約の件はどうなったの?」
「……………」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に、すぐには返事が出来ない。
婚約の件って…そんなのどうもこうもないだろう。
俺たちは話を聞くだけでいっぱいいっぱいで、話し合いなんて出来なかったし。
そもそも婚約破棄は最初から決定事項だった。
どうもなりようがない。
でも母上の中では違ったようだ。
「婚約破棄なんてしないと伝えて来たんでしょう?」
「………はい?」
母上は当然と言わんばかりの顔をしているけど。
俺は何を言われたのか分からなくて、思わず聞き返してしまった。