第2章 おとぎのくにの 2
パーティーよりも何倍も楽しみにしていた誕生日会当日。
迎えてくれたサトとカズは今日もお揃いのドレスで、本当の姉妹のようだ。
「ようこそ。今日は本当に4人だけよ」
通されたサロンには、サトの言う通り他に誰もいない。
「準備も全部カズと2人だけでしたんだから」
「ええっ!本当に!?」
「そう···まぁ、本当はほとんどカズがやってくれたんだけど」
サトがいたずらっぽく笑うと、カズは恥ずかしそうに俯いた。
サロンはいつも通り···いや、いつも以上に綺麗に飾り付けられていて。
これを全部カズが···?
「カズ!ありがとう!」
感激して思わずカズの両手を握りしめてしまった。
カズは真っ赤になってますます下を向いてしまう。
「ジュンさまに喜んでいただけたなら嬉しいです」
耳まで赤くして小さな声でぽそぽそ呟く姿が愛しかった。
「どうぞお座りになってください。今日は給仕も私がさせていただきますね」
そう言うと、カズはやっと顔を上げてくれた。
でも緊張しているというか、どこか不安そうな表情をしていて。
いつもと違う様子に少し心配になった。
席に着くと、宣言通りカズが紅茶を淹れてくれた。
「美味しい」
一口飲んで、思わず呟くとカズが安心したように小さく息を吐いた。
「紅茶も茶菓子も私たちが選んだのよ」
「これも?本当に美味しい。ありがとう、サト、カズ」
サトはちょっとおどけたようにドヤ顔をして見せたけれど、紅茶も茶菓子も本当に美味しくて。
俺のために2人が一生懸命考えて準備してくれたんだと思うと、すごく嬉しかった。