第13章 おとぎのくにの 5
たくさん話すことに慣れていない私の説明じゃ、たどたどしくて、きっと分かりにくかったと思う。
それでも、ショウもジュンも途中で遮ることなく、真剣な顔で話を聞いてくれた。
思い返せばいつだってそうだった。
喋ることがあまり得意じゃない私の話をちゃんと聞いてくれて。言いたいことを汲み取ってくれて。
そういうところも好きだったな…
好きなところをまた1つ見つけて胸がぎゅっとなる。
「私たちは男だった…でもそのことは秘密にされてて、私たちも知らなかったんだ…ずっと自分は女だって信じて生きてきたんだよ…」
私の話は信じてもらえてるのかな…
ショウたちの様子を伺ってみるけど、2人とも真顔で、その表情からは何を考えているのかは読み取れなかった。
「それが昨晩、突然あなたたちは男の子なのよって言われて…急にそんなこと言われても、正直まだ全然受け入れられてない…」
「サトさま…」
私にしがみつくカズの手に力が入る。
それはまるで自分も同じだと言っているようで。
私を支えようとしてくれてるみたいに感じて。
「自分が男だなんて信じられないよ…お母さまのたちの悪い冗談だと思いたい…でも冗談じゃないんだって…私たちは本当に男なんだって…」
カズの存在に安心して、弱音がポロポロとこぼれ出してしまう。
「騙すつもりなんてなかった…本当にショウのことが好きだった…ショウのお嫁さんになりたかったよ…」
ショウたちには事実だけを伝えようと思っていたけど、本心を隠しきることは出来なかった。
やっぱり伝えたかった。
知っていてほしかった。
私の初めての友だち。
私の初めて好きになった人。
ショウたちと出会ってから、単調だった私の世界はキラキラ輝き出して。
すごく楽しかった。
すごく幸せだった。
ショウと、ジュンとカズと4人で。
いつまでもずっと一緒に笑い合っていられると思ってた。
本当に本当に大好きだったんだ。