第13章 おとぎのくにの 5
「あとは今回の件に関わった者たちの処分についてだが…」
お父さまがそう切り出すと、カズの肩がびくっと揺れた。
その中にはカズの母親も入っているから心配なのだろう。
「彼らは厳罰を与えられることを望んでいる」
お父さまがため息混じりにそう告げると、カズはぎゅっと唇を噛み締めた。
『婚約の話が出る前に…いえ、サトさまがお生まれになった日に、処罰を恐れずすぐ旦那さまにご報告していれば…こんなことにはならなかったのに…』
彼らの後悔はとても大きかった。
私が傷つく未来しかないと分かっていたから、婚約が決まって喜ぶ私を見るのはとても辛かったそうだ。
『本当に申し訳ありませんでした。サトさまのお気持ちを考えればどんな罰でも足りないと思いますが…どうか厳正な処分を…』
涙混じりにそう訴えられたらしいお父さまは深いため息を吐いた。
「私個人の感情としては、彼らを責めることは出来ない。真っ先に気付き止めるべきだった私は、昨日話を聞くまでサトが男だなんて疑ったことすらなかった。最も責められ罰を受けるべきなのは私なのに、その私にはなんの罰もない。それなのに、どうして彼らを罰することが出来る?」
お父さまは自嘲するような笑みを浮かべる。
王さまからの罰がなくても、自分を許せずにいるのが伝わってきた。
「ただ、この件はサトの判断に任せる。サトが望むようにしよう」
お父さまとカズの視線が私に向く。
私は手を伸ばすと、不安そうなカズの手をそっと握った。
私の答えは決まってる。
「私は罰なんて望みません」