第13章 おとぎのくにの 5
お父さまは事情を知ってる者たちから話を聞き終わるとすぐに登城して。
非常事態ということで急遽王さまに謁見を求め、ついさっきまで話していたらしい。
「国王陛下も何もご存知なかったよ」
お父さまの話を聞いた王さまは卒倒しかねないほど驚かれたそうだ。
…まぁ、そうだよね。
知ってたら婚約を許可するはずないもんね。
話が話だったので、すぐに王妃さまも呼ばれて。
そしてお父さまと王さまは更に驚くことになった。
「なんと王妃さまは最初から全てご存知だったそうなのだ…」
王妃さまは私とカズが男であることを知った上で、自分の息子との婚約話を進めていたらしい。
一体いつから知っていたのか、どうしてこんなことをしたのか…質問責めにされた王妃さまは不思議そうに首を傾げて。
『何をそんなに怒ってらっしゃるの?何か問題でも?』
と、全く悪びれることなく逆に聞き返してきたらしい。
本当に何がいけないのか分からない様子だったそうだ。
さすがお母さまの親友…
妙なところで感心してしまう。
王妃さまの態度ですっかり脱力してしまった王さまは、自分の妻と妹がしたことだからとお父さまを責めることはなかった。
それどころか、むしろ私たちも被害者だと同情してくれて。
「サトのことをとても心配なさっていたよ」
お母さまのお兄さまで、ショウとジュンのお父さま。
一度もお会いしたことのない私のことまで心配してくださるなんて、王さまはきっととてもお優しい方なんだろう。
舞踏会の日に初めて拝謁させていただくことになっていたけれど、こんなことになってしまったし。
もしかしたらこのまま一生お会いすることはないのかもしれないな。