第13章 おとぎのくにの 5
カタカタと体が震える。
カズの人生をめちゃくちゃにしたのが私だという事実が、自分が男だったということ以上にショックだった。
「ごめん…ごめん、カズ…」
謝って済むことじゃない。
でも謝らずにはいられなかった。
「サトさま…?」
「私のせいでカズまで…本当にごめん…」
カズのことが大切だからこそ辛い。
申し訳なさで押し潰されそうだ。
でもカズは驚いたように目を見開くと
「違います!何もサトさまのせいではありません!」
震える私の手をぎゅっと握って、力強くそう言い切った。
俯く私の顔を覗き込むようにして目を合わせると、私を安心させるようににこっと笑う。
「それに私は嬉しいです」
「うれしい?」
この状況で?一体何が?
カズが何を言い出したのか分からなくて首を傾げてしまう。
困惑する私にカズはもう一度笑顔を見せた。
「私にはサトさまのお気持ちが分かります。私だけはサトさまに本当の意味で寄り添えるんです」
そう言うカズの目はとても穏やかで。
本当に嬉しそうに微笑んでいて。
「この状況でサトさまをお一人で苦しませないで済んだことだけでも、私は私を女として育てることを決意してくれた母に感謝します」
キッパリとした言葉は力強かった。