第13章 おとぎのくにの 5
そして長い間隠してきたことを、昨夜ついにお母さまが口にした…と。
うん、私に関しては分かった。
結局、昨日お母さまが話してくれたことが全てなんだ。
お母さまが娘が欲しかった。
だから私を女として育てた。
すごく単純明快。
受け入れられるかは別にしても、どうしてこうなったかは理解出来た。
でも…じゃあ、カズは?
私の隣で黙って話を聞いているカズをチラリと見る。
私より3歳下のカズ。
ここまでの話には全然名前が出てこないけど…
カズも男なんだよね?
なんでカズも女として育てられることになったんだろう?
今日は、昨日聞けなかったカズの話も絶対聞かなくちゃ。
カズからお父さまに視線を戻すと、それだけでお父さまには私の言いたいことが分かったみたいだった。
元々お父さまも曖昧にするつもりはなかったのだろう。
「カズ」
今度はカズに向き直って、カズと視線を合わせる。
カズは怯むことなく背筋を正すと、お父さまの視線を真正面から受け止めた。
「カズのことも3人に確認した」
「…はい」
「やはりカズも男で間違いないそうだ」
「…はい」
カズは静かに頷いた。
カズも覚悟を決めていたんだろう。
もう動揺したり固まってしまったりすることはなかった。