• テキストサイズ

イロイロ【気象系BL】

第2章 おとぎのくにの 2



「4人だけの時は友だちなんだから···友だちの誕生日をお祝いするなんて当たり前のことでしょう?カズはジュンのお祝いしたくないの?」
「···したい···です」

許されるならば、私だって大切なジュンさまの誕生日を祝いたい。

「ジュンだってカズにお祝いしてもらったら喜ぶよ」
「そうでしょうか?」
「うん!絶対喜ぶ!」

サトさまの力のこもった言葉と優しい笑顔に勇気をもらう。

「でも···一体何を差し上げたらいいのでしょう?」
「心のこもった贈り物ならば、どんなものでも喜ばれるよ。一緒に考えようね」

サトさまに相談しながら悩んで悩んで。

白いハンカチに、ジュンさまのイニシャルを刺すことに決めた。

習い始めたばかりの刺繍はまだそんなに上手ではないけれど。

一針一針、心を込めて丁寧に。
伝えられない想いを全て針に乗せた。

刺繍が得意なサトさまにも時々見ていただきながら、毎晩少しずつ少しずつ縫い進めて。

ジュンさまがいらっしゃる前の晩に、無事完成させることが出来た。

世界に1つだけの贈り物。

少し歪で、お世辞にも綺麗とは言えないけれど、心だけは重すぎるほど込めた。

受け取ってもらえるかな。

それ以前に、本当に私も誕生日会に参加していいんだろうか。

不安は消えなくて、その夜はなかなか眠れなかった。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp