第2章 おとぎのくにの 2
「ショウも参加できないことは分かった上で、一応声を掛けてくれただけみたい」
サトさまはふんわり微笑むと
「パーティーには参加できないけれど、私もジュンのお祝いはしたいから···出来たら誕生日近くの日に招待して、うちでもささやかなお祝いをしたいね」
楽しそうにそう提案されたけど、私は素直に頷くことが出来なかった。
私に誕生日を教えてくれないと言うことは、私には祝われたくないと言うことではないの?
そんな考えが頭から離れない。
「4人だけの誕生日会を考えよう?」
「はい、サトさま」
それでもサトさまにそう言われれば、私に否を言うことは出来ない。
「プレゼントは何が良いかな?きっと家からお父さまたちが何か贈られるとは思うけど、それとは別に何か···」
私の心情など知らないサトさまは贈り物を考え始めたようだ。
その様子を見守っていたら
「カズはどうする?」
「わ、私ですか···?」
突然矛先がこちらに向いて驚いてしまう。
王子であるジュンさまは高価な贈り物を山のようにもらうだろうし、望むもので手に入らないものなどないだろう。
そんなお方に、一侍女である私が何を贈ればいいと言うのだろう。
私のお給金で用意出来るものなどたかが知れているし。
私なんかが王子に物を贈るなんて失礼じゃないんだろうか。
「カズ?」
「私なんかが···」
つい卑屈な言葉が口をついてしまったら
「なんかって言わないの!」
サトさまに強い口調で遮られた。
「いくら本人だって、私の大切なカズをそんな風に言うのは許さないんだから」
優しい言葉に泣きたいような気持ちになる。
「はい、申し訳ありません」
素直に頭を下げる私にサトさまはにっこりと微笑んでくれた。