第13章 おとぎのくにの 5
「サトとカズが男…?」
「一体何の話なんだ…?」
理解出来なかったのは私だけではなかったようで、お兄さまたちも呆然としている。
「誰も気付いていなかったの?まぁ、そうよね。2人ともとっても可愛いものね」
そんな中、お母さまだけはとても楽しそうで。
「でもね、実は2人とも男の子なのよ」
驚きすぎて声も出ない私たちを前に、どこか得意げにうふふと笑った。
お母さまは、まるでイタズラを成功させた子どものような顔をしていて。
とても重大な秘密を打ち明けたようには見えなくて。
頭がグラグラする。
タチの悪い冗談だとしか思えない。
だって……私が男……?
生まれてこの方ずっと女として生きてきた。
自分の性別に疑問を持ったことなんて一度もない。
それなのに、本当は男だって…
一体どういうことなの?
急にそんなことを言われても私はどうしたらいいの?
現実をうまく受け止められない。
悪い夢でも見ているみたいな気がする。
「待ってくれ…ちょっと待ってくれ…」
いつもは冷静なお父さまも、今は明らかに動揺していて。
何度も深呼吸を繰り返して、なんとか落ち着こうと必死になっているのが分かる。
「一体どういうことなのか詳しく説明しておくれ…」
お父さまにそう請われると、お母さまは懐かしそうに目を細めながら昔話をしてくれた。