第13章 おとぎのくにの 5
…………………え?
今、お母さまが何かおかしなことを言わなかった?
私とカズが、オトコノコ………?
ギョッとしてお母さまを見たけど、お母さまは残念そうな顔をしてるものの、ごく普通の態度で。
とてもそんな爆弾発言をしたようには見えなくて。
だから私の聞き間違いだと思ったのに。
「………は?」
「今…なんて…?」
すぐにお兄さまたちの震える声が聞こえて。
周りを見回せば、お父さまもお兄さまたちもカズも、すごく戸惑った顔をしてお母さまを見ていて。
その反応で私の聞き間違えではなかったんだと分かった。
「なあに?みんなどうしたの?」
突然その場の全員の視線を一身に受けることになったお母さまは、少し困ったようにおっとりと首を傾げる。
その様子はやっぱりいつも通りで。
何がなんだかよく分からなくて不安になる。
「あー…今、なんと言った?ちょっと上手く聞き取れなくてな…すまないが、もう一度言ってくれないか?」
お父さまが皆を代表するかのようにお母さまに聞き直してくれた。
平静を装っているけど、その声は硬くて。
お父さまも緊張しているのが伝わってくる。
重い沈黙が落ちる中、お母さまはあっさりと口を開いた。
「赤ちゃんが望めなくて残念ねと言ったのよ」
「いや、それもかなり衝撃的だが…その前だ…」
「サトもカズも男の子だから…?」
今度ははっきりと聞こえた。
でも私にはお母さまが何を言っているのか全く理解出来なかった。
男?私とカズが?
お母さまは一体何を言っているのだろう?