第13章 おとぎのくにの 5
でもね、カズはジュンのこと好きなんだよ。
ずっと一途に想い続けてるのを私は知ってる。
カズは身分を気にして最初から諦めてたけど。
1番のネックだった身分の問題が解決するなら、もう障害なんてない。
カズはまたごちゃごちゃ考えちゃいそうだけど、教養も礼儀作法もなんの問題もないカズだ。
身分さえクリア出来たなら、躊躇う理由なんてもうどこにもない。
ジュンもカズをお嫁さんにって望んでくれてるんだもん。
あとは、カズが覚悟を決めて飛び込むだけだよ。
私もちょっとでも背中を押してあげたくて。
「カズは私がショウに嫁ぐ時ついてきてくれるつもりだったのでしょう?」
「はい!それは、もちろん!」
何気ない風を装って尋ねてみれば、力強く即答してくれるから嬉しくなっちゃう。
「王宮に移るのは同じだもの。そんなに難しく考えなくていいんじゃない?」
「なっ…!!」
深く考えずに頷いちゃえって思ったんだけど、カズは真っ赤になって悲鳴みたいな声を上げた。
「サトさまの侍女として王宮に入るのと、ジュンさまのお、お、奥方になるのでは全く違います!!!」
「そうかな?」
「そうですよ!!!」
ちょっとでもカズの気持ちが軽くなればと思ったけど、そんな簡単には変わらないみたい。
でも、きっとお母さまと王妃さまに押し切られると思うよ。
私も今回はお母さまの味方をするしね。
カズだって今は戸惑いが大きいかもしれないけど、本当は嬉しいはずだもん。
私には幸せな未来しか想像出来なくて。
すごく幸せな気持ちでいっぱいで。
まさか、これ以上の特大の爆弾をお母さまが隠しているなんて、想像もしてなかった。