第13章 おとぎのくにの 5
舞踏会のために、勉強だけじゃなくてダンスレッスンや礼儀作法の講義の時間も増えて。
今カズの言ってた今日仮縫いするドレスとか、小物なんかも新調することになった。
参加者の名前や派閥なんかも覚えなくちゃいけなくて、本当に目が回るほど忙しい。
でも忙しいのは私だけじゃなくて。
全ての行動を私と共にしてるカズはもちろんのこと、舞踏会と婚約発表に向けてショウとジュンの2人もかなり忙しい日々を送っているらしい。
お互い予定が合わなくて、最近は全然会えないでいる。
ショウに会えないのはとてもさみしいけれど、どんなに忙しくても手紙のやり取りだけは細々と続けていて。
『大変だけどサトのためだから頑張れるよ』
そんな一文に胸が熱くなった。
ショウが私のために頑張ってくれているのに、その私が逃げる訳にはいかない。
逃げるつもりもない。
私だってショウのためなら頑張れる。
それでも不安は消えないんだ…
だって、生まれて初めての外出が王宮の舞踏会って!
ショウたち以外で初めて会う外の人が王さまと貴族数百名って!
どう考えても最初の1歩には向いてないでしょ!超える壁が高すぎると思う!
出来れば、もうちょっと初心者向けなところから始めたかったよ…