第13章 おとぎのくにの 5
何がそんなに忙しいのかっていうと。
まず、ショウとの婚約が決まった時点で勉強量がぐぐっと増えた。
王族に嫁ぐために学ばなきゃいけないことっていうのがあって。
だからと言って、今まで通りの講義がなくなるわけでもないから、単純に勉強量が増えたんだよ。
正直私は勉強が苦手で。
歴代の王さまの名前とか似たようなのが多くてごっちゃになるし、国の歴史とか地理とか目まぐるしく変化してるから混乱するし。
こんなの覚えて何になるんだって思っちゃったりもするけど。
ショウと結婚するために必要だというのなら、カズの言う通り頑張るしかない。
だってショウのことが好きだから。
ショウとずっと一緒にいたいから。
そのための努力はちゃんとしたいと思うし、苦手な勉強だってちゃんと向き合おうと思ってる。
思ってるけど…
「はぁぁ…」
それでも勝手にため息がこぼれてしまう。
「それほど社交界デビューは気が重いですか?」
「……うん」
カズにはため息の理由もお見通しだ。
そうなんだよね。
なんと来月に王家主催で開催される舞踏会に出席することが決まっちゃったんだよ。
公爵家に生まれたからには社交界を避けて通ることなんて出来ないし。
この舞踏会で正式にショウと私の婚約を発表することになっていて。
今まで頑なに私の外出を許してくれなかったお父さまもお兄さまたちも、今回ばかりは認めない訳には行かず…
みんなものすごい渋い顔をしていたけれど許可が出た。