• テキストサイズ

イロイロ【気象系BL】

第13章 おとぎのくにの 5


-サトside-


最近ちょっと忙しい。

今日は朝からダンスのレッスンで。

「サトさま!背筋を伸ばして!もっと姿勢を正してくださいませ!」
「はいっ」
「サトさま!もっとにこやかに!」
「はいっ」

ダンス自体は楽しくて好きなんだけど、厳しい先生に毎回ビシバシしごかれて。

今日もレッスンが終わる頃にはクタクタに疲れ果てていた。

「あぁ…疲れた…」

部屋に戻ってすぐお気に入りのソファに身を沈めて、やっとホッと一息つく。

そんな私を見て、カズはすぐにお茶の準備を始めてくれたけど。

「サトさま、昼食後はドレスの仮縫い。その後、お靴と装飾品も選ぶことになっています」

お茶を淹れながら午後の予定を告げるから、ため息を吐きそうになった。

………訂正。
ちょっとじゃなくて、かなり忙しい。

「サトさま?聞いてらっしゃいますか?」
「はいはい、ちゃんと聞いてるって」
「“はい”は1回ですよ!」
「……はぁい」

背もたれにくたっと凭れ掛かりながらの投げやりな返事を聞いて、カズが苦笑する。

「お疲れなのは分かりますけど。そんなお姿を見せるのは、私の前だけにしてくださいね」
「……はぁい」
「いろいろ大変ですけど、全部ショウさまのためです!頑張りましょう!」

気のない返事をする私にはお構いなしに、カズは満面の笑顔でグッと拳を握った。


……そう。
この忙しさはみんなみんなショウのためなんだ。


/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp