第10章 お見舞い『キミのとなりで ずっと』より
-Oside-
放課後、翔くんと潤と3人でニノの家に向かった。
雅紀と風間は部活で来れなくて残念がってた。
本当はね、翔くんと2人きりにしてあげた方がいいかなって思わなくもなかったけど。
俺だってめちゃくちゃ心配してたし。
ニノに会えなくてさみしかったし。
自分の目で元気になったニノを見たかったから…
翔くんもみんなで行くものって思ってそうだったから、遠慮なく一緒に行くことにさせてもらった。
ピンポンを鳴らしたらすぐにドアが開いて
「来てくれてありがとう」
ニノがめっちゃ可愛い笑顔で出迎えてくれたんだけど。
「こら、ニノ!!」
誰よりも早く口を開いた潤が怒った。
「病み上がりのくせに、そんな格好でフラフラしてんな!またぶり返すぞ!」
「潤お母さんが怒った…」
ニノが口を尖らせるけど、怒られて当然だよ…
お風呂上がりなのか、濡れた髪の毛から水がポタポタ落ちてるんだもん。
それに半袖Tシャツ1枚しか着てないし。
今そんな季節じゃないでしょ!
潤の言う通り、こんなんじゃまた熱が上がっちゃうよ。
急いで家に上がりこんで、ニノをベッドに押し込んで。
潤がガミガミお説教してる間に洗面所からドライヤーを拝借して戻ると、ニノはベッドの上で毛布でぐるぐる巻きにされてた。
「もう大丈夫なのに…」
「大丈夫じゃねーよ!明日も学校行けねーぞ!」
「むぅ…」
口ごたえして、また潤に怒られてる。
そのやり取りをクスっと笑いながら見てたら
「智くん、ドライヤー俺がやらせてもらってもいい?」
遠慮がちに翔くんに声を掛けられた。
「もちろん」
すぐにドライヤーを手渡すと、翔くんはお礼を言ってにっこり笑って。
「カズ、乾かすよ?」
返事を待たずにドライヤーのスイッチを入れて、ニノの髪の毛にそっと触れた。
不器用な翔くんの手つきはとてもぎこちないけど、すごく優しくて愛に溢れてて。
ニノは熱がぶり返したんじゃないかと思うくらい真っ赤になった。