第10章 お見舞い『キミのとなりで ずっと』より
-Nside-
翔ちゃんが髪の毛乾かしてくれてる!?
「しょ、翔ちゃん!自分で出来るよ!」
「いいから、俺にやらせて?」
恥ずかしくて自分でやろうとするんだけど、ぐるぐる巻きにされてるから思うように動けなくて。
結局翔ちゃんにされるまま。
うぅー、恥ずかしい///
でも本当はとっても嬉しい…///
ちょっとぎこちないけど、髪に触れる手がすごく優しくて。
ずっと頭を撫でられてるみたいで気持ち良くて。
何だかまた眠くなってきた。
さっきまで寝てたのに…俺の体どうなってんの?
思わず小さなあくびが出ちゃったらすぐに智に気付かれた。
「ニノ眠い?寝ていいよ?」
「やだ…!」
せっかくみんなが来てくれたのに。
やっと翔ちゃんに会えたのに。
まだ何にも話せてない!
このまま寝るなんて絶対やだ!
でも髪の毛を乾かし終わった翔ちゃんにベッドに横たえられて。
頭を撫でたり胸をトントンされたりして、気持ちと裏腹にどんどん瞼が落ちてくる。
「いいから寝な。体力落ちてるんだよ」
「いっぱい寝ないと元気になれないよ」
「やだ…ねない…」
潤くんと智に諭されてイヤイヤと首を振るけど、眠気は消えてくれない。
必死に眠気と戦っていたら、ふわりと翔ちゃんの手が目を覆った。
「今日はカズに会えて嬉しかったよ」
「しょおちゃん…」
「ゆっくり休んで、明日はもっと元気な顔を見せてね」
優しい声に誘われるように、どんどん眠りに引き込まれていく。
もう抗えない。
「おやすみ、カズ。大好きだよ」
せめて返事だけでもしたくて。
俺も大好き…
みんな来てくれてありがとう…
必死に口を開いたけど、ちゃんと言葉になったかな?
みんなが笑った気がしたから、伝わったのかな。
もう目は開かないけど、翔ちゃんと智が手を握ってくれたのは分かった。
きっと潤くんはお母さんみたいな顔で見守ってくれてるはず。
すごく安心して、体の力が抜けて。
みんなのためにも目が覚めたらもっと元気になっていますように…
そう願いながら、幸せな気持ちで意識を手放した。
end