第8章 こわい夢 『キミのとなりで ずっと』より
-Mside-
何となくみんなで眠るニノを見守っていたら
「やだ………っ!!」
突然ニノが小さな悲鳴をあげて飛び起きた。
呆然とした様子でキョロキョロと辺りを見回してるけど、なんだか顔色が悪いし呼吸も荒い。
「カズ?どうしたの?大丈夫?」
翔が心配そうに背中をさすってやりながら声を掛けると、ニノはゆっくり翔の方を振り向いて。
「しょ…ちゃ…」
その目から涙がポロポロと溢れ出した。
「わっ!!カズっ!!泣かないで!!」
突然泣き出したニノを慌てふためいた翔が抱きしめる。
智も心配そうに近付いていくと、頭を優しく撫でながらニノと目を合わせた。
「ニノどうしたの?こわい夢でも見ちゃった?」
「うぇぇ…翔ちゃんが…」
「翔くんが?」
「翔ちゃんがほかに好きな人ができたから別れようって言ったぁ…」
言うなりニノがうわーんと子どもみたいに泣き出した。
「はぁっ!?ちょっと翔くん!!!」
一瞬で鬼の形相になった智が翔に詰め寄っていく。
「えええーっ!!そんなこと言ってない!!俺がそんなこと言うわけないでしょ!!こんなにカズのことが大好きなのに!!!」
「じゃあ何でニノがこんなに泣いてるの!?」
「だから怖い夢を見たんだろ?」
理不尽に怒られる翔がさすがに可哀想で、横からつい突っ込んでしまった。
天地がひっくり返ったって翔がそんなこと言うわけないし…っていうか、実際に翔はそんなこと一言も言ってないし。
智もずっと一緒にいて見てただろ?
「夢でもニノを泣かせないで!!」
「んな無茶苦茶な…」
智は大真面目なんだろうけど、もう苦笑するしかない。
ニノの夢なんて、翔にどうこうできるもんじゃないだろう。
本当に智はニノのことになると冷静さを失うよなぁ。
「カズ、ごめん…ごめんね?大好きだから泣かないで?」
何も悪くないはずの翔は、ニノを抱き締めて繰り返し謝ってる。
………で。
当のニノはまだえぐえぐ泣いてるけど、力が入らないのかぐったりと翔にもたれかかっていて。
これは雅紀の心配が的中だな。