第1章 おとぎのくにの
お茶会はとても和やかに進んだ。
「ショウさまは何歳なんですか?」
「私はサトさまの1歳下です」
相変わらずショウさまの笑顔を見ると胸がドキドキするけれど、嫌な感じはしないから気にしないようにしている。
「ジュンは私の2歳下ですよ」
「まぁ、カズと同い年ね」
ショウさまは話がお上手で話題も豊富で、お城の様子やちょっと笑ってしまうような面白い出来事をたくさん話してくれた。
屋敷の外に出たことも、屋敷の者以外と接したこともない私たちには、ショウさまのお話は別の世界の物語のようで。
もっと聞きたいとねだる私に、ショウさまは優しく微笑んで応えてくれる。
みんなで笑っているうちに、どことなく漂っていた緊張感は消えていた。
ガチガチだったカズですら、会話にこそ入らないものの柔らかい微笑みを浮かべて楽しそうに聞き入っていた。
気づけばお母さまたちは昔話に花が咲いているのか、2人でなにやら盛り上がっていて。
「ショウさま、ジュンさま、もしよろしければ少し庭に出ませんか?」
「ぜひ。案内していただけたら嬉しいです」
ショウさまはさっと立ち上がると、私の横へ来て手を差し出して立ち上がるのを助けてくださる。
「ありがとうございます///」
礼儀作法の講義で習ってはいるけれど、実際にされたのは初めてで少し気恥ずかしい。
隣ではジュンさまがカズをエスコートしていて。
真っ赤な顔でジュンさまの手を取るカズが可愛らしかった。
「お母さま、ショウさまたちにお庭を案内してきますね」
「あら、いいわね。いってらっしゃい」
お母さまたちに声をかけてから、4人で庭へ向かった。