第5章 おとぎのくにの 3
おまけ
-サトside-
今日はジュンとカズが計画してくれたお庭でのピクニックの日。
準備のためカズは朝からパタパタ忙しなく動いていたけれど。
ジュンも予定より早い時間に1人で現れたかと思うと、なんやかんやとカズに手を貸している。
「カズ、貸せ。そっちは俺が持つ」
「そんなっ、ジュンさまに持っていただく訳には…」
「いいから!カズはその小さい方を持って!」
「…ありがとうございます、ジュンさま」
今もカズが抱えようとしていた大きなバスケットを取り上げて、カズには見るからに軽そうな荷物を持たせる。
ジュンの言葉はいつも通り少しキツく聞こえてしまうけれど、行動はカズへの優しさに溢れていて。
カズは恐縮しつつも、どこか嬉しそうに受け入れていて。
なんかちょっと2人の空気が今までと違う気がする。
2人で出掛けたことで何か変化があったのかな…
先日、街から帰ってきたカズは今まで見たことがないくらい興奮した様子でその日体験してきたことを話してくれた。
カズを送り出した後も実は少し心配していたのだけれど、どうやらそれは杞憂だったようだと安心して。
カズの話に興味深く聞き入った。
外の世界なんて今まで物語の中のような場所だったのに、カズの言葉で聞くと急に現実味を帯びて。
あまりにもカズが楽しそうに話すから、ほんの少しだけ羨ましくなって。
同時に、いつか私も…と思うと胸がドキドキした。