第5章 おとぎのくにの 3
今日は俺もすごく楽しかった。
行ったことのある場所なのにカズが一緒にいるだけで目にする全てのものがキラキラして見えて。
見たことのないカズを見る度に、今まで以上にカズのことを好きになった。
まぁ自分のカズに対する態度を振り返れば、反省するべき点は山のようにあるけれど。
カズも楽しんでくれていたと思うし、今日の誕生日祝いは大成功だったんじゃないかな。
出来れば今日限りじゃなくて、これからも色んな場所にカズと行きたいし、もっと色んなものをカズに見せてあげたい。
次に出掛けるとしたらどこがいいだろう…
移動遊園地とか?
馬車で酔ってしまうカズには厳しいかな。
じゃあサーカスとか?
動物が好きか今度聞いてみよう。
今年はもう終わってしまったけど、俺の大好きなひまわり畑も見せてあげたいし。
俺もまだ行ったことのない海に行ってみるのもいいかもしれない。
2人で一緒に初めてを経験するとか考えただけでもワクワクする。
でもまずは秘密の場所でのピクニックを実現させることからだな。
帰ったら早速ショウ兄さんとサトに相談しよう。
きっと2人も賛成してくれるはずだ。
視線を下げると、スヤスヤと眠るカズの襟元に2羽の小鳥がとまっているのが見えて。
このブローチの鳥たちみたいに、俺とカズも仲良く寄り添いながら色んな経験をしてさ。
それで少しずつ距離を縮めて。
いつかカズも、俺がカズを想うのと同じくらい俺のこと好きになってくれたらいいな。
俺もカズに好きになってもらえるように頑張るから。
そんなことを思いながら、愛しいぬくもりをそっと抱きしめた。
end