第4章 となりの黄瀬くん。
夜の9時が来たので勉強を終わらせ
私と涼太くんは
お茶とお菓子を囲んでおしゃべりをしていた。
「そういえば公子っち
どうして今は『涼太くん』って呼ぶんスか?」
「え?」
びっくりした。
確かに小さい頃は『涼太』って呼んでいたけど
数年ぶりに再会した涼太くんは昔の彼とは違う。
背も高いし ピアスも開けてるし 雑誌に載っていたりするし
どんどんかっこよくなる涼太くんを見ていると
私だけずっと時間が止まっているみたいで恥ずかしかった。
「呼んでほしいっス 昔みたいに
涼太、って」
きゅっ、と涼太くんの顔が近づいた。
ふわ、と香った涼太くんの
どこかなつかしいにおいを感じて思った。
あぁそうだ どんなに外見が変わっても
彼は私の幼馴染の『涼太』なんだなぁ…
「りょ 涼太…」
「よくがんばりましたっ
おりこうさんっスよ ハム子」
「!? ハム子って私の昔のあだ名…
涼太呼んでなかったじゃん」
「ずっと呼んでみたかったんスよ
かわいいじゃないっスか ハム子♪」
「っ…」
「なーに赤くなってるんスか ぎゅうしちゃうっスよ?」
「! 何言ってるの ばかっ」
「それより今日もう遅いし 泊まっていってもいいっスよね?」
「それはだめ!」
毎週水曜日 夜7時から9時まで。
あなたに会えるこの時間が何よりもしあわせ。
でも もし少しでも長くなったら
もっともっとしあわせ。
end**