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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第32章 となりの赤司くん*back ground



はじめはたぶん気まぐれだった
こんなに大切な存在になるなんて
少しも思っていなかった。

勝手だって怒るだろうか?
いとおしい名前をくちずさむ

忘れてしまわないように
色褪せてしまわないように。

公子 君は
今どこにいる?



中学3年生の時 シュート練をしているところに公子が通りかかった。

はじめは声こそかけられることはなかったが
目の輝きで、彼女が何を考えているか容易に想像がついた。



無意識に彼女の方へ足が向く。

「わ 赤司くん…こ こんばんは!」
「やぁ公野」

会話をするのは初めてだった。
さて何を話そうか…そんなことを考えていたら
公野が口火を切った。



「…あのっ 赤司くん!」
「何だ?」
「あの 私…
ここで見ててもいいですかっ!」

なんだ 何かと思ったらそんなことか。
全く問題ない 俺に実害が及ばないのならいくらでも見ていけばいい。



「構わない。
そこだと通行の妨げになって危険だから 中へ入ってくるといい」

俺がそう注意を促したが 彼女は一向に動く気配がない。
何をしているんだ あれじゃ危険じゃないか。

再度言うのが嫌だったので、直々に彼女を迎えに行く。



「ちょ 赤司くん!?」
「危険だと言ったじゃないか 歩けるか?」
「だ 大丈夫です…そうだ 手!ごめんなさい…」

本当はすぐ離すつもりだった彼女の手はとても小さく、
華奢で滑らかで、さわり心地が良い。

「赤司くん?」
「小さい手だな…」



公野の手から伝わる優しいぬくもり。
この心地よさの正体を見破ることのできないまま
ただ穏やかに時間が流れていった。



to be continued**
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