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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第29章 となりの笠松くん*back ground



「やっぱり手強いですね 高校生編…
大丈夫ですか?笠松先輩」
「すまねぇ公野…」

高校生編はやはり一筋縄ではいかない。
ひたすら俺の連敗が続き
終いにはペースを落として中学生に戻っても見られなくなってしまった。



「疲れた…」
「まぁ焦らずいきましょう 先輩紅茶でいいですか?」
「あぁ すまねぇな」
「いえいえ」

公野の淹れてくれた紅茶を飲みながら
ふと公野のほうに目がいった。
見た目も多少は変わったが 何よりしぐさが女らしくなった。

「それにしても公野」
「あ はい?」

クッキーを頬張る公野を見つめる。
こんな不甲斐ない俺のために
公野は惜しげもなく力を貸してくれている。
そのことを申し訳なく そしてありがたく思った。

「…先輩?」
「…」

春と比べて伸びた公野の髪に手が伸びる。
指ですきながら なんとなしにつぶやく。

「公野 だいぶ髪伸びたなー」

ぴし、と 公野が固まった。

「あの…先輩?」
「なんだ?」
「そのー 手を…」

なんだ 手か。

…うん 手?



「…ぬあ!」

ざっ、と後ずさる。
恥ずかしすぎて耳まで赤くなっているのが自分でもわかる。

「す すまねぇ…」

「…っふふ」

公野がくすくす笑いだす。

「…何笑ってんだっ」
「何でもないです っく…はははは」
「何だって!はっきり言えっ」
「何でもないですって
ほら そろそろ続きしますよ」

ぐい、と手を引かれる。

「いやもう少しだけ休憩を…」
「次はこれでいきましょう 桐皇の桃井さん!」
「いやちょっと待っ…ぐああああああ!」



俺がいつか女が平気になったら
真っ先に公野のところへ行こう。

とびきりの感謝と愛情を
あいつに届けるんだ。



end**
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