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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第28章 となりの火神くん*back ground



ゆらゆらと沈んでいく意識の中で
よく知る奴らが浮かんでは消えていった。
みんな笑っているけど す、と振り向いて
俺を置いて歩いていく。

待てよ 黒子!先輩!青峰!
置いてくなって 黄瀬!タツヤ!アレックス!
待ってくれ 待って…

辺りは真っ暗になり いつのまにか俺は一人になっていた。
なんだよ なんだよこれ…

一人になるんじゃないか、と思った。
周りはどんどん冷たくなって 怖くてたまらなくなって
動けずに立ちつくしていると
遠くから公野の優しい声が聞こえ
目の前で小さな光が瞬いた。

「大丈夫 私がいるよ
だから泣かないで…」



俺は必死に手をのばした。
公野にふれたい 一人になりたくない一心で。

いつから俺はこんなに弱くなったんだろう。
一瞬考えてから すぐ考えるのをやめた。

理屈なんて関係ない
ただとなりにいてほしい。
それだけで十分だ。

公子のことが
どうしようもないくらい いとおしい。



手にふれた淡い光を抱きすくめる。

ふるふるとふるえ落ち着かない。
でも ほんやりとあたたかく
涙が出るほど ほっとする。



目が覚めると外はすっかり夜になっていて
俺の横には公野が横たわっていた。
気持ちよさそうな顔で寝てやがる。

傍に置かれた盆にはお粥が置いてあった。


「…ありがとな 公子」

いつか面と向かって
こいつの名前を呼べる日が来ればいい。

「…ふあ」

まだ体が本調子じゃないのか あくびが出た。
まぁ明日休みだし 公野が目を覚ますまで
もう少しこのままでいいかな、なんて思った俺は
再び布団へもぐり込んだ。



end**
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