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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第24章 となりの紫原くん*back ground



ケーキでお腹いっぱいになったのか
ふわー、と息をつく公子ちんは幸せそうで
見ている俺も嬉しくなる。

「にしてもさ しばらく会わない間に
むっくんまた背伸びた?」
「さぁー 公子ちんはあいかわらず小さいよねー」

こうして頭をなでるのは
俺の日課というか、通過儀礼というか
公子ちんに無意識にやっていることだった。
本人は心底嫌って顔はしてないから 止めようとは思っていない。



頭をなでていると 公子が頬をふくらませながらつぶやいた。

「私がどんなに頑張って高ーいヒール履いても
むっくんと同じ目線にはなれないんだよねー」

なんだ そんなことか。
そんなの俺がちょっと頑張ればすぐできるのになぁ。
ん やって、って振りなのかも?

「え?なれるよ?」



ぐっとかがんで 公子ちんの目線に合わせる。

「ほら おんなじー」
「…びっくりした! なんか新鮮」



ふいに 頭をなでられる。
小さな公子ちんの手が 俺の髪をすくう。

「…へへ」

無意識に俺の口元がゆるんでいた。
気持ちいい けどそれ以上に
こそばゆくて、少し恥ずかしくて、うれしい。



それから 公子ちんをだっこして
俺の目線の高さまで持ち上げる。

…あれ 何も言わない。
ただただ目をまんまるにさせる公子ちんを見て
怖いのかと思って 俺は公子ちんを下ろした。

「すっ…ごい高かった!感動した!」

笑顔をいっぱいにのせて
公子ちんが笑った。
よかった 怖かったんじゃないのか。



またやってあげよっか?と聞くと公子ちんは少し黙ってから
うーん、と唸りながら答えた。

「だっこされるのはいいや」
「えーなんで?怖かったー?」

「そうじゃないけどさ 私がだっこされてるときは
むっくんの頭なでられないじゃない?」



そのときの胸の高鳴りは
俺が今まで経験したことのないものだった。
どきどき、では足りず
きゅん、でも足りず
ただもう 「愛しい」という気持ちがとまらない。

「またしてね」



好きなものは 甘いものとんまい棒
好きな時間は お菓子を食べるときと勝つとき

今までも きっとこれからも
ずっと大好きなのは 君だけだよ、と言える日が 来ればいい。



end**
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