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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第24章 となりの紫原くん*back ground



好きなものは 甘いものとんまい棒
好きな時間は お菓子を食べるときと勝つとき
それから 公子ちんと一緒にいるとき



「ねー公子ちんさー こっちのケーキとこっちのゼリーだったら
どっちのほうがおいしいかなー」
「あのさぁむっくん 久しぶりに会ったんだから
もう少しおしゃべりしようよ」
「むぐ… 公子ちん何か言ったー?」
「…いーえ おかまいなく」

久しぶりに会ったっていうのに
相変わらず公子ちんは冷たい。



部活も趣味も 何も接点がなかったのに
んまい棒によって繋がれた俺たちの縁は不思議なことに
俺が陽泉に進学しても途切れることがなかった。

今日だって 久々に座って甘いものが食べたい、って連絡したら
公子ちんは俺がいない間にできた
新しいケーキバイキングの店に連れてきてくれた。
つんつんしてても 実はすごく優しいのを
俺は誰よりも知ってるつもりだ。



「ふわふわのもの食べるの久々だなー
さくさくしたものばっか食べてるから」
「まぁいつもいつもケーキは食べられないよね…
で ケーキとゼリーどっちの方がおいしかった?」
「んー…おんなじくらい」

はは、と笑いながら
おもむろに公子ちんが立ちあがった。

「じゃあ私もさっきむっくん食べてたやつ食べよっかな」

取りに行くの?
だったらさっきのやつ勧めてみよう。

「あ あのねー公子ちん」
「ん?なに?」
「ゼリーの方が甘さ控えめだったから
公子ちんはそっちの方がすきだと思うよー」
「そっか じゃあゼリーにしようかな
ありがとねむっくん」

にこ、と笑った公子ちん。
この顔を知ってる人は何人いるのだろう。



俺だけが知っていたらいいのに。
そう無意識に思っている自分がいた。



そんな自分に若干とまどいながら
悟られないように話題をすりかえる。

「でねー 取りに行くついでに俺の分もケーキ何個か取ってきてー」
「…聞こえないなぁ」
「えー ケチ」



こんなこと言ってるけど 絶対取ってきてくれる。
公子ちんのこういうところが
きっと俺は好きなんだと思う。



to be continued**
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