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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第23章 となりの日向くん*back ground



「だアホ!びっくりしたわ!」
「いやー面目ない…」
「あー なんかすげぇ疲れた…」

引き戻すため必死でつないだ手を離さないまま
俺たちは床に寝っ転がった。
公野は空を見ながら呼吸を整えている。

「青いねー…」



さっきまであんなに暴れていたのに
そんなことなかったみたいな穏やかな顔してやがる。
こんな風に行動の読めない公野のことが
無意識に目で追ってしまう。

「そうだな…っはは」



自分でも気がつかないうちに 笑いがこぼれていた。



「やべ 止まんね…っはははは」
「え どしたの!?」
「いやさ 公野ってたまに周りすげぇびっくりさせることするよな」
「え?」
「リコといるときとかさ もうオレ見てるだけでおかしくておかしくて…あ」



となりに寝転がる公野と目があう。
風でゆれる髪 少し眠たげな目
遠くから見るより ずっときれいだと思った。

どれくらい時間が経ったかは分からないが
口を滑らせてしまった恥ずかしさが
少ししてから 一気に押し寄せてきた。



「え ちょ 日向くん!?」

「悪ぃ 見てたとか言って…
すげぇ恥ずかしい…」

目を丸くさせて それから少しうれしそうな顔をして
公野が話しかけてきた。



「…ねぇ日向くん」
「…んだよ」
「私のこともさ 名前で呼んでくれる?」
「はぁ!?ななな なんでいきなり」
「呼んでほしい」
「いや だからなんで…」
「呼んでほしいの」



まっすぐ俺のことを見てくる公野。
冗談なんかじゃない こいつは本気なんだと思った。

少しためらいながら
何度も呼ぼうとしていた名前を口に出す。



「…公子」

「はいっ」

ふへ、と頬をゆるませ
公野は嬉しそうに返事をした。



「…何にやにやしてんだよ」
「べっつにー?」
「しゃーねぇなったく…え」

言いかけて俺は ずっと手をつないだままであることに気がついた。
一度ひっこんだ恥ずかしさがわきあがって
俺の手も公野の手もみるみるあつくなる。

「ちょ 千昭!手!」
「わ!」



end**
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