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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第21章 となりの小金井くん*back ground



もやもや考えるのも好きじゃないし
どうせならきっぱり嫌いって言われようと思って
俺は胸の内を打ち明けた。

「千昭はさ…怒ってねーの?」
「は?何に?」
「いやさ 俺テニスやってたのに今バスケやってんじゃん?
半端だーとか思ってないかなって…」

幾度となく考えたのに 誰にも言ってこなかったからか
どんどん口が重くなって 言葉が出てこなくなる。
俺の予想とは裏腹に 公子は目を丸くさせすぐに口を開いた。

「何言ってんの 怒るわけないじゃん」
「え?」

「水戸部のこと見てかっこいいなって思ったんでしょ?
コガがしたいことをしてるのがいちばんいいことだと思う
それに バスケしてるときのコガ すごくいい顔してて
見てて楽しくなるし 私も嬉しくなるよ」

一息で言いきった公子は ふぅ、と息をつく。
それから俺をまっすぐ見つめてきた。
気のせいかもしれないけど 少し頬が赤い。



うれしかった。
俺が後ろ向きな理由でテニスを辞めたんじゃないって信じていてくれたことが、
こんなにも俺のことを 分かっていてくれたことが。



「そっかそっか わ なんか恥ずいな!
にやけ止まんねー…
でも…サンキューな千昭 俺器用貧乏だけど
いつか俺だけの何かすっげー技できるように頑張るわ!」

本当はもっと伝えたいことがあった。

でも今は これだけでも言えることが
こんなにもうれしい。



「ほらほら さっさと学校行くよ」
「ちょっと待てって 寝不足の俺をもう少し労わって…」
「そんなんでリコのメニューこなせるの?」
「思い出した 今日確かダッシュの本数倍…
いーやーだああああああ!」



笑いながら俺の背中を押す公子と走る道。
俺たちの青春は こんなにも青くて未完成で
とびきりきらきらしている。



end**
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