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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第2章 となりの緑間くん。



「狭いよーう 真ちゃんもうちょいスリムになってよ」
「入れてもらっている分際で何を言っているのだよ 大馬鹿さん」
「まだ引っ張るかそれ!真ちゃんそれ実は気にいってるんでしょ」



そんなこんなで真ちゃんの傘に入れさせてもらってる私。
いや 最初は入れてもらえてラッキーとか思ってたけど…
よくよく考えるとさ、

「これってあいあい傘だよね!」
「それがどうかしたのか」
「…別にどうもしないのだよ」
「…俺の真似をするな そしてあからさまに拗ねるな」
「拗ねてないのだよ」
「…」

別に拗ねてる訳じゃないけど
もっとこう 恥じらいとかさ!

びしゃっ、

「つっめった!何で傘頭の上で傾けたの真ちゃん!」
「うるさい黙れ
あまり大馬鹿さんでいるのは感心しないのだよ 訳を話せ」
「っ…
真ちゃんは 私なんかとあいあい傘して
いやじゃないの?」

私がそう言うと 真ちゃんは目を丸くさせて
すぐに答えた。

「嫌な訳ないのだよ お前は女だ
女性を夜に一人で帰らせるほど俺は馬鹿ではないのだよ」

その言葉にびっくりして
おもわず私はその場に立ち止まってしまった。

「何をしているのだよ 濡れるからはやく入れ」
そう言って真ちゃんは私の手をにぎって傘の中へ引き寄せた。

いろんな感情がまざりあう。
言葉にしたい でも言葉にならない。

「…真ちゃん」
「何なのだよ」
「もし私が傘なくて困ってたらさ
また真ちゃんの傘入れてくれる?」
「?当たり前なのだよ」
「そっか… へへ」

こそばゆい。恥ずかしい。
でも なんだかうれしい。

「それに」
「え?」
「馬鹿は風邪をひかないとよく言うが公野は大馬鹿だ
雨にあたったら一周まわって風邪をひくのだよ
お前が風邪をひいたら俺にもうつる可能性があるからひかせるわけにはいかないのだよ」
「あ こら真ちゃんてめええええ!」

雨はいつのまにか上がっていた。
雨上がりの空にうかぶ星は
まるで世界が新しくなったみたいにきらきらしていた。



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