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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第20章 となりの緑間くん*back ground


「全く 今日はついてないのだよ…」

買いたい本があるから帰り支度を急いでいたのに
高尾の馬鹿がだらだらと話をするせいで
雨に降られて走る羽目になった。

まぁ今日のラッキーアイテムの折畳傘が役立ちそうだからいいのだが。



すぐそこだったので傘を差すより走る方がいいと思い
走って入ったら 入口で誰かにぶつかってしまった。

「っと すみませ…
あれー 真ちゃん!」
「…間宮 こんなところで会うとは珍しいのだよ」



俺が目当ての本を探す後ろを
なぜか公野はぴったりとついてくる。
へー 真ちゃんもそういう本読むんだー、じゃない
人の買い物にむやみにつきあうものじゃないのだよ。

こいつも高尾同様都合の悪い話を聴き流す奴なので
今日ももちろん俺の話など聞きもしない。



「ていうか 真ちゃんと呼ぶなとあれほど言っているのに懲りない奴なのだよ」

「いいじゃんいいじゃん ほんとは嬉しいくせに♪」

そう言って笑った公野。
こいつの笑う顔に 俺はどうも弱い。

「嬉しいわけないのだよ 馬鹿が」
「馬鹿はないでしょ!百歩譲ってお馬鹿さんとお呼び」
「嬉しいわけないのだよ 大馬鹿さんが」
「ちょ 真ちゃんてめぇ!」



雨は依然として振り続けている。
公野が うーん、と小首をかしげた。

「困った…一応連絡はいれといたけどあんまり遅いと暗いしなぁ…
って真ちゃんは帰らないの?」

人の心配をしている場合か。

「そう言うお前はどうなのだよ」
「いやー傘持ってないからさ 止むの待ってるんだけど
これは止みそうにないね 小振りになりつつあるけど」

さすがに女をこの暗い雨の中一人で帰らせるわけには行かないのだよ。

「…間宮の家は 確か俺の家を過ぎたところにあったな」
「え?そうだけど それがどうかした?」
「幸い俺は折畳傘を持っている
途中から貸してやるから 一緒に帰るのだよ」
「え!ほんと!?」
「別にお前だけ濡れて帰ってもいいが」
「いやいやいや!あやからせていただきますっ」
「嫌ならいいのだよ ずぶ濡れになる勇気があるのなら」
「いえいえ めっそうもない!」

柄にもないことをしているのだろうか。
それでも 公野の困った顔を見ると
調子が狂うのだよ。



to be continued**
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