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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第16章 となりの花宮くん。



「本気?ふはっ 笑わせてくれるじゃねぇか」
「うるさい」
「威勢のいい女は嫌いじゃないぜ 壊しがいがある」
「じゃあさっさと殴るなり蹴るなりすればいいじゃん」
「足ふるえてんじゃねぇか」
「そんなこと…!」

嘘だった 足の震えが止まらない。
真はこういうときに手加減をするような奴じゃない。
ぼろぼろにするに決まっている。



「本気なんて言葉 簡単に言うんじゃねぇ」
「うるさい!ここで本気出さないでいつ…!」
「女のお前の手なんてすぐに振り解けんだよ
大体な 掴み方がなってねぇんだ」

そう言うや否や 真は片手で私の肩の辺りを掴み
手首をねじりながら私の体を軽く持ちあげる。

「おら こうしたら片方の腕は使いもんにならねぇ
胸ぐら掴むなんざ素人がやることだ 覚えとけ」
「ちょ 離して!」
「あ?聞こえねぇな」
「離して…っ」



すとん、と私は地面に下ろされた。
がり、と頭を掻きながら真はばつが悪そうな顔をする。

「っくそ…しらけたじゃねぇか
おら とりあえず涙拭け」
「…」
「あーもうトロいんだよお前はよ!ったく…」

ぶつぶつ言いながら 真は自分の服の袖で私の涙を拭う。

「…いいか 公子」

真はかがんで目線を私の高さに合わせ
少し怒ったような顔をしながら続けた。



「これからは俺以外の前で泣くんじゃねぇ 分かったか?」

「…やだ」
「あぁ!?ふざけんなよ
俺がどんだけ恥ずかしい思いを…」

「真が昔みたいに真剣にバスケしてくれないとやだ」

私がそう言うと 真は少し黙った。

「…俺が壊してぇのは何かに本気になってる奴だ
けど公子はまだ何にも本気になってねぇ」
「?うん まぁ…」
「だからお前が本気になれるもの見つけたら
その時は選手壊すのやめてやるよ」

「…嘘だ」
「嘘じゃねぇって 見ろよ俺のこの純粋な目を」
「わ 近寄るなばか!」
「耳元で叫ぶんじゃねぇ!
ほんとくそ野郎だな公子は 気に食わねぇ…」
「こっちの台詞だよ くそ野郎」



なんだか上手いこと言いくるめられてしまった。

いつになるか分からないけど
昔みたいに 真が
心から楽しんでバスケができる日が来ればいい。



end**
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