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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第16章 となりの花宮くん。



ごっ、という鈍い音が肌寒い住宅街に響く。
花宮真は 少しよろめきながら言った。

「ってぇな…何すんだよ公子」
「うるさい 相手の選手はもっと痛い思いしてるんだ
私があんたに同じだけ報復してやる」



2年前 バスケ部で一緒だった今吉先輩に
お前だけは花宮の味方でおってやってくれ、と言われた。
どういう意味か分からず 花宮と同じ霧崎第一へ進学した私は
2年生になってから やっと先輩の言っていた意味が分かった気がする。

バスケ部の主力となってから真は
ラフなプレーで相手の選手を潰すようになった。
奴の頭のキレの良さも バスケの実力も知っていた私は
真がそんなプレーをするのが許せなかった。



「今日行ってきたよ 誠凛の選手のとこ」
「木吉の?へぇ 俺も誘ってくれたらよかったのによ」
「…笑ってた」
「ふはっ!やっぱばかだなあいつ もっと潰しときゃよかったぜ」
「っ…!」

思わず真の胸ぐらを掴む。
顔色ひとつ変えずに 真は話を続ける。

「あーいう奴が一番ムカつくぜ
木吉なんか初めて会ったときからちっとも好かねぇ…
公子 あいつどこの病院いんだよ」
「…教えない」
「は?」

「真」



私は真を掴む手をぐっと引き寄せた。
声を荒げないようにしながら静かに言う。

「もうラフなプレーするのはやめて」
「ふはっ…やめるわけねぇだろバァカ」
「どうしても苦しい思いさせたいんなら 全部私にして」
「は?何お前冗談言って…」
「本気だよ」



他の選手が傷つけられないなら私はどうなってもいい。
私にはこの男の所業を悔い改めさせる義務がある。
私がやらなきゃ。

私は歯を食いしばった。



to be continued**
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