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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第15章 となりの若松くん。



「じゃーんけーんぽんっ
よっしゃ!」
「また負けた…」
「じゃあ次はあの街灯までよろしく 若松♪」
「距離長ぇよ!ていうか絶対イカサマしてるだろ!」
「若松が弱すぎるんだって ほら持った持った!」
「くっそおおおおお!」

私の荷物をかれこれ学校からずっと持ち続ける若松孝輔と
ずっと手ぶらで歩く私。
じゃんけんで負けた方が勝った方の荷物を決められた距離まで運ぶという
誰もが一度はやったことのあるゲームを数年ぶりにしてみたが
何度やっても若松はじゃんけんが壊滅的に弱い。



約束の街灯まで運んだ私の荷物を
どさっと地面に置いた若松。

「おっも…何入ってんだよこの鞄…」
「参考書とか大学の過去問とか」
「まーた勉強かよ これだからガリ勉は好かねぇ」
「勉強できないと困るじゃん 若松みたいに」
「うっせえな!」

高校2年の秋 部活に入っていない私は
人より勉強に費やす時間が多い。
反対にバスケ部の第一線で活躍する若松は
成績がとても悪い。

「若松ってどうやってウチの学校入れたの?」
「あ?バスケに決まってんだろ ばーか」
「ばかにばかって言われたくないんだけど」
「うっせぇな!ばかって言う方がばかなんだよ!」
「先に言ったの若松じゃん ばか」

ばかの若松とは意見がぶつかることが多いけど
自分がこうだと思ったことをまっすぐ貫こうとするこいつのことが
ときどきひどく眩しく見える。



「あ゛- 疲れた…」
「ふふ おつかれ」

もう何勝しただろうか。
勝ちすぎて持ってもらうのが当たり前みたいに思えてきた。

「そーいやさ 公野って苦手なものとかねーの?」
「え どうして?」
「こんなにコキ使われたら仕返しのひとつくらい…」
「聞こえてるんだって」
「じゃあイカサマの仕方教えろよ!」
「だから何もしてないって…」
「で?苦手なものねーのか?」

「…ないよ」

少し間を空けてしまった。
私だって完璧な人間なんかじゃないから
苦手なものだってあることにはある。

でも こいつにだけは…
若松だけには 絶対教えられない。



「ほらほら 次のじゃんけんするよ!」
「はぁ!?ちょっとくらい休憩させろよ…」



to be continued**
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