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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第13章 となりの桜井くん。



絶叫系にチャレンジしようとする桜井くんを止めたり励ましたりしながら
園内のアトラクションを制覇してしまった私たちは
入園ゲートのそばに連なるお店を見てまわっていた。

「10本中9本…やるじゃん私!
でも全部入ってたら…」

フリースローの入った本数を競う機械で
予想外の好成績に喜ぶ私とは対照的に
桜井くんは頬をぷくっとふくらませている。



「…僕の方がうまいもん」



そう呟いてから桜井くんは私の方を向いた。

「見ててください
公子さんが惚れちゃうようなシュート決めますから!」



「すごいね 全部入れちゃうんだもん
さすがバスケ部の特攻隊長!」
「当たりまえですよ バスケしてない公子さんより
僕の方がうまいに決まってます」
「はは かわいいぬいぐるみもらっちゃうしね
やっぱり桜井くんすごいや」

シュートを全本決めた景品のうさぎのぬいぐるみを
桜井くんはだいじそうに抱える。

本当はぬいぐるみが欲しかったから挑戦したんだけど
私にかわいいものなんて似合わない。
その点…

「桜井くんはほんとにかわいいものが似合うね
今日の服もおしゃれだしかわいい」
「あ ありがとうございます」
「私には似合わないや」

はは、と笑う私の顔を 桜井くんがじっと見てくる。

「ん 何?」



「…公子さん これあげる」



そう言って私にぬいぐるみを渡す。
そしてとびきりの笑顔になる。

「やっぱり公子さんには かわいいものが似合います」



へへ、と照れ笑いをしながら隣を歩く桜井くん。
つられて私も笑う。
道を沿う川で黄昏の夕日と深い青がまざりあい
私たちの進む道をきらきらと照らした。



end**
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