• テキストサイズ

となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第12章 となりの今吉くん。



「おー公子 まだおったんか」
「翔一が言ったんじゃん 待ってるんやでーって
外雪降りそうだよ」
「はは そうやったなぁ悪かった
ほな帰ろか」



翔一こと今吉翔一は 同じ高校に通う
私の数少ない友人だ。
女子特有のいざこざとか 見え透いた腹の探り合いとか
そういうのを避けて生きてきた私に
中学のとき 翔一がやたら構ってきたのが始まりで
同じ高校に通う今もこうして話したり
今日みたいにときどき一緒に帰る。



「来年もう3年だよ はやいなぁ」
「せやなぁ ほんまあっちゅーまやったわ」
「バスケ部はまだ引退ないんだっけ?」
「当たり前やろ こないだ主将なったばっかりやし
来年はワシらの時代やで!」

そう言う顔には翔一の持つ腹黒さが垣間見える。

「ん?なんや まじまじと顔覗き込んでから」
「さっき翔一悪い顔してたよ
なんかいいことあったの?」

そう聞くと 翔一はあちゃー、と言いながら自分の頭をさわった。

「あかんなぁ 公子には何でもバレてまう…
ここだけの話 来年すごい新入生が来るかもしれん」
「すごい新入生?前に言ってた…
えーと なんとかの世代」
「キセキの世代な そこの青峰っちゅー奴や」
「…分かんないや」
「せやろな まぁしゃーないわ
こいつが入ると来年のウチは今よりずっと強くなる
桐皇は新設校やから今はとにかく成績出さなあかんっちゅーわけや」
「へぇ 色々考えてるんだね」
「ワシこう見えても頭脳派やからな はは」

愛想笑いもできない私は
黙ったまま少し考え込んだ。

「…ねぇ」
「ん?なんや公子」
「もしさ 今より…」

そこまで言いかけて 口をつぐんだ。
背の高い翔一が私の顔を覗き込む。

「なんや?言いたいことあるんならちゃんと言い」

「…んー なんでもないよ」



ウチのバスケ部がもっと強くなったら
一緒に帰れなくなるんじゃないの?
今より話せなくなるんじゃないの?

もうちょっと
もうちょっとだけ、一緒にいたい

のどのすぐ手前まできていたのに
言えなかった。



to be continued**
/ 68ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp