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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第11章 となりの笠松くん。



「じゃあさっきの人もう一回いきましょう」
「お おう!」

先輩の前に私の友だちが小学生だった頃の写真を差し出す。
そして その写真を眉間にしわを寄せながら必死にガン見するのは
とある一件がきっかけで知り合いになった
同じ学校に通う 2つ上の笠松幸男先輩。

測っているタイムと先輩の顔を交互に見ていると
区切りとしている10秒が経過した。

「はいそこまで!
もうこれで小学生までは余裕ですね」
「ほんとか!?よしっ!」
「少し休憩挟んだら 次は中学生編に突入しましょうね」
「中学生…やってやるぜ」



笠松先輩と初めて会ったのは 私が入学して間もない頃だった。
部活の勧誘の波から出ようとしていたら
金髪で背の高い人の周りに群がる女の子たちに
人ごみの外に追い出されて転んだ私を
笠松先輩が助けてくれたのだ。

後々分かったのだけど 笠松先輩は女の子がひどく苦手で
1時間目の体育のために体操服でいたのに加えて
髪も短く 背もそこそこあって声も低めだった私のことを
男だと勘違いしていたから助けられたらしい。
色々失礼な話だが 普段の制服姿の私にも免疫がついてきたらしく
胸のあたりまで髪が伸びた今でも
先輩は変わらず仲良くしてくれている。

そして今は先輩に女の子に慣れてもらうため
私の持つ女の子の写真を 年齢の低い順に見せていっている。



「っだーだめだ!恥ずかしい!」
「困りましたね…横顔とかでもだめですか?」
「目が合わないのなら幾分見られると思うんだが…」
「じゃあ この子とかは?」

そう言いながら 背筋をのばした横顔の子の写真を取り出す。

「ぐ…!」
「目逸らしちゃだめですよ さーん しーい…」
「…っだめだあああ!」

そう叫びながら 笠松先輩は両手で顔を覆い
私の部屋の床をのたうちまわる。



私と笠松先輩は工夫と努力を重ね
なんとか中学生編をクリアした。

次はいよいよ最後の高校生編。
ここからが正念場 先は長そうだ。



to be continued**
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