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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第6章 となりの紫原くん。



「ふわー 食べた食べた!
たまにはこういうのもいいね」
「ねー おいしかった」

ケーキバイキングでお腹を満たした私たちは
お腹を落ち着かせようと少し歩いていた。



「にしてもさ しばらく会わない間に
むっくんまた背伸びた?」
「さぁー 公子ちんはあいかわらず小さいよねー」
「ちょ 頭ぽんぽんするな!」

背の小さい私は 昔からむっくんによく頭をなでられる。
身長差がすごすぎて ちょっとした肘置きみたいになるからあんまりされたくないんだけど
何回言ってもむっくんはやめることをしない。

「私がどんなに頑張って高ーいヒール履いても
むっくんと同じ目線にはなれないんだよねー」
「え?なれるよ?」
「いやいや どうやってもそれは…」



私が言い終える頃には
むっくんの顔がすぐ目の前にきていた。
私の方を上目づかいで見ながらむっくんは続ける。



「ほら おんなじー」
「…びっくりした! なんか新鮮」

言いながら私は無意識に いつもむっくんにされるみたいに
むっくんの頭をなでた。



「…へへ」



あ なんか気持ちよさそう。

「それとねー こんなのも思いついた」

そう言うとむっくんは私の両脇を持って
自分の目の高さまで持ち上げた。



いつもの私が見ている世界とはまるで違い
色んな感情がまざりあって何も言えないままだった私は
いつのまにかむっくんに地面に下ろされていた。

「どうだったー?」
「すっ…ごい高かった!感動した!」
「またやってあげよっかー?」

そう言われて私は少し考えた。
思考を働かせる頭に浮かんだのはさっき全く違う世界と
それから 頭をなでられてうれしそうなむっくんの顔。

「うーん だっこされるのはいいや」
「えーなんで?怖かったー?」
「そうじゃないけどさ 私がだっこされてるときは
むっくんの頭なでられないじゃない?」



目を丸くさせて そのあと少しはにかみながら
でもとびきりしあわせそうに
「またしてね」と言ったむっくんの顔を
私はずっと忘れない。



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