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となりの彼。【黒子のバスケ短編集】

第6章 となりの紫原くん。



「ねー公子ちんさー こっちのケーキとこっちのゼリーだったら
どっちのほうがおいしいかなー」
「あのさぁむっくん 久しぶりに会ったんだから
もう少しおしゃべりしようよ」
「むぐ… 公子ちん何か言ったー?」
「…いーえ おかまいなく」

高校生になったんだし少しはまともになったかと期待したけど
そんな微かな期待さえ裏切ってしまうほど
むっくんは成長していなかった。



むっくんこと紫原敦と私が初めて会ったのは中学のときだった。
お菓子がすきな私が ある休み時間に
新作のまいう棒を食べようとしたところに
「何それ そんな味出てたの…!?」と 目をきらきらさせながら
いきなり話しかけてきたことから話が弾み
高校生になってもときどき連絡をとっていた。

むっくんは秋田県のバスケの強豪校に進んだみたいだけど
数日前から部活の関係でこっちに戻ってきたらしく
「久々に座って甘いものが食べたいなー」と誘ってきたので
今こうして一緒にケーキバイキングに来ている。



「ふわふわのもの食べるの久々だなー
さくさくしたものばっか食べてるから」
「まぁいつもいつもケーキは食べられないよね…
で ケーキとゼリーどっちの方がおいしかった?」
「んー…おんなじくらい」
「はは そっかそっか」

むっくんは体が大きいくせに中身が幼い。
わがままで マイペースで
人にどう思われてもお構いなしで
いい意味でも悪い意味でも 本当にぶれない。
まぁ気を使われないのは楽だから
そういう意味で むっくんといるのはたのしい。



「じゃあ私もさっきむっくん食べてたやつ食べよっかな」

そう言って立ちあがったところで
むっくんに呼びとめられた。

「あ あのねー公子ちん」
「ん?なに?」
「ゼリーの方が甘さ控えめだったから
公子ちんはそっちの方がすきだと思うよー」
「そっか じゃあゼリーにしようかな
ありがとねむっくん」

何だかんだ言いながらも
むっくんのこういうところが 私は好き。

「でねー 取りに行くついでに俺の分もケーキ何個か取ってきてー」
「…聞こえないなぁ」
「えー ケチ」



to be continued**
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