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依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔


「しーちゃん」
「んー?」



夕食も平らげて、片付けも終わって。
時計を見れば9時を回ってた。
しーちゃん、そろそろ帰る時間だ。
ならやることは、ひとつしかない。

花がこの水道止めたら、しーちゃんの、隣に座ったら。
たぶんきっと、なんにも考えらんないくらいにめちゃくちゃに抱かれて。
また、いつもの日常が始まる。
たぶんきっと、それでもいいんだと思う。
むしろ。
たぶんきっと。
花はそれを、望んでる。



「どした?花?」



両手を後ろ手に床にくっつけながら、しーちゃんが顔だけで花を振り返る。

「……………うん」


「……………」



止められない水道を、ゆっくりとした動作で後ろに回ったしーちゃんが、代わりに止めた。


「終わった?洗い物」
「……………うん」


やっぱり、流されちゃうのかな。
しーちゃんに抱かれたらたぶんもう、なんにも言えない。考えらんない。


「花」


耳元に寄せた唇が、甘く囁く声に。
背筋が甘く、溶けだす。



胸元にまわされたしーちゃんの体温。
ぬくもり。
しーちゃんの、匂い。
どれをとっても、心地好くて。
何もかも、どーでもよくなってくる。



「……………」



でも。
だけど。


「…………安定期、入ったんだね、彼女」



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