第1章 夜暁
「……それ、やぁ」
「や、じゃないでしょ花」
「………っ」
すでに何度も、何年も、重ねてきた身体。
彼には全てお見通し。
私の弱いところも、いいところも、全部彼にはわかってる。
わかってるから敢えて、わざとその場所を外すんだ。
「花?」
「…………」
「ずっとこのままでいたい?」
口調はそれこそ疑問系なはずなのに。
穏やかに笑ってるようにさえ見えるのに。
有無を言わせない威圧感。
「……っ!!……っああ……っ」
答えない私に、痺れを切らした彼なりの答え。
ゆっくりと動いていた腰の動きさえ完全に封印して。
彼は胸の膨らみを揉みしだきながら、その頂へと噛みつくように吸い付いた。
「花」
「……っ、もっ、と、奥……っ」
「ん、花いい子」
溢れ出す涙をその唇で舐めとると、彼は笑顔で私を真上から見下ろすのだ。
「!!」
両手をベッドへと縫い止めるように絡めると。
彼は一気にギリギリまで引き抜いたそれを、奥の奥まで突き上げるように貫いた。
「や、待って…っ!やぁっ、あ、……っ、ん」
「すっげー締まる。これ好き?」
「……っ」
「花」
「………っや、あぁぁぁっ!!」
わかってるはずなのに。
それでも彼は、いつも私からの答えを問う。
羞恥心で答えられない私の心情だってわかってるはずなのに。
それを彼は許さない。
「……す、き。……それ、好き、だから……っ」
「ん」
満足そうに微笑むと、額にキスを1つ落として。
彼は躊躇なく奥をめがけて、その動きを早めるのだ。
彼の形がわかるくらいに締め付けが強くなると、彼もまた、薄い膜越しにその欲望を吐き出した。