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依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔


頭の芯が溶けていくような。
頭の中から溶かされていくような。

そんな、甘い時間。


「…………なんて顔、してんのお前」
「え?」

親指で、唇をなぞられると。
背筋に言い様のない感覚。


「だって、こんなキス、はじめて」
「はじめて?」
「いつもは…………っもっと強引、だし、優しく、ないもん」
「は?」

恥ずかしすぎて。
しーちゃんから離れようとしても。
腰に回された両手がそれを許してくれない。

顔ごと、視線だけはずすのが精一杯。

「……………」


あれ?


言い返されない?


なんか、まずいこと、いっちゃったかな。


謝ろうと口を開いたと同時に。
しーちゃんが立ち上がった気配がして。

今まで同じ位置にあったはずの視線が、上にある。

「強引ってゆーのは、花」
「え」

「こーゆーの」


「………………んん?」



急に。
吐息まで奪われるくらいの、深い口づけに。
目の前がチカチカした。

崩れ落ちそうになる体を、腰に回されたしーちゃんの右手が支えてくれる。


さっきとは全然違う、深すぎる口づけに。
呼吸ができなくて涙が溢れた。




「…………………は、…………っ」


やっと開放された瞬間。
酸素を取り込むために、大きく肩が上下した。


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