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依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔


「俺、花ほんと好きだよ」

しーちゃんの頭に手を乗せたまま固まった花の手に、顔を右肩に埋めたまま、しーちゃんの手が重なった。

「花といると癒される」

意味が、理解出来ない。

「花がずっと俺のこと好きでいてくれてるの、すっげー嬉しかったし。俺も花、好きだよ」


重ねた手はそのままに、首筋から顔を上げたしーちゃんと、同じ位置で視線が絡んだ。


「………………なんで泣くの?」


なん、で。

なんの、涙?





……………………ああ、そっか。



「怖い、から」


「怖い?」



「こんなに幸せだと、怖くて。この幸せが消えた時がすごくすごく怖い」

「なんで終わること前提?」

「………………終わらないの?」

「花が俺のこと嫌いにならない限りはね」

「そんなの、あるわけないじゃん」

「じゃ、大丈夫じゃん?」

「………………っ」


それでもやっぱり怖いよ。
手にはいらないものを手に入れてしまったら。
失った時の傷は想像出来ないんだよ。

どうしても。

今が幸せすぎると。


失った時のことを思わずにはいられない。



「これでも、怖い?」

「え?」

ふわっと。
重なった唇。

だけど。


さっきとは全然違う。


優しく進入してきたしーちゃんの暖かい体温のそれは。
ゆっくりと時間をかけて、甘い時間を花に与えてくれる。


キス、って。


こんなに気持ちよかった?

こんなに、甘いもの、だった?
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