第2章 朔
あ。
信号……………。
しーちゃんの背中越しにチラッと見えた信号は、いつのまにか真っ赤じゃなくなってた。
「……………」
額をコツン、と合わせて笑いあって。
車を走らせる。
握りしめた右手が、しーちゃんのぬくもりを感じて喜んでる。
時々チラッと視線をくれるしーちゃんの眼差しに、体中が喜んでる。
呼吸の仕方も忘れるくらいに。
好きが、止まらない。
好きが溢れて、呼吸が出来ない。
『無意識』に、してたはずの呼吸は。
脳からの指令を待たないと、酸素を取り込まない。
二酸化炭素を吐き出せない。
『無意識』にしてたはずの呼吸は。
今はしーちゃんを見つめることで精一杯。
『無意識』に、しーちゃんを見つめちゃう。
見つめることで精一杯で、呼吸の仕方を思い出す余裕なんてないの。
好きで。
好きが、止まらないの。
好きが溢れて、止まらないよ。